サイバー、絞られた「ポスト藤田」候補たちの実力 社長退任まで2年、後継者の選定作業はヤマ場に

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人物像として、関係者が口をそろえるのが「組織づくり」への高い意識だ。「根っこの思想が軍隊的で厳しい」「『キングダム』の武将に憧れるようなタイプ」(複数の関係者)などといわれるだけあって、社員がスクラムを組んで突撃していくような営業組織を標榜してきたという。

サイバーエージェント藤田氏の後継候補者リスト

山内専務を周囲が有力視する理由は、これらの実績や人柄以上に、藤田氏との厚い信頼関係にある。「山内専務は藤田さんへの忠誠心が高く、藤田さんもとくに山内専務をかわいがっている印象だ」(サイバーエージェントの元幹部B)。ちなみに山内専務と藤田氏は、ヒップホップという共通の趣味も持つ。

肝煎り事業のABEMAでは2023年からCOO(最高執行責任者)を任され、今年から本格的に動き出すIP特命部隊の舵取りも山内専務に託された。A氏は「山内体制に向けて、すでに実質的な移行時期に入っているのでは」と勘繰る。

最大の対抗馬は異色の若手ホープ

同じ40代でも、山内専務と対照的なキャラクターの候補者が内藤貴仁常務(46)だ。広告部門において、広告代理の事業部と双璧をなすAI事業本部のトップを務め、AIを用いた広告ソリューションの展開や、約90人のAI研究者が集うラボのマネジメントを担う。

人当たりのよい印象からは想起しにくいが、実は自他ともに認める「とがった人材」の内藤常務。藤田氏との指揮系統を重視する山内専務とは対照的に、勝手に案件を進めていくタイプだ。しばしば藤田氏から「内藤がやってること、よく新聞で見るよ」と言われるそうだが、当の内藤常務は「あ、そうですか。ありがとうございます」と意にも介さない。

ある社員は「広告ビジネスを人手からAIにシフトし、省力化しないといけないという危機感から、早い段階でAIラボを立ち上げた。彼の先見の明が、現在の競争優位性につながっている」と評価する。同時に、元社員からは「内藤さんと若手社員で会食した際に、『俺がいなかったら今のサイバーはなかった』と豪語していた」という逸話も聞かれる。

担当領域や実績、肩書を見れば、内藤常務も新たなトップの有力候補者に映る。だが、次期社長には会長CEOに就く藤田氏との伴走力が問われるだけに、そのポジションにははまりにくいとの見方が大多数だ。

後継者レースを藤田氏の愛する競馬になぞらえて、本命馬を山内専務とするなら、最大の対抗馬と目されるのが、1990年生まれの飯塚勇太専務(34)だ。

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