そんな聡子さんが婚活を始めたのは35歳のときだった。実家にいた姉が結婚することになり、母親が一人になるので聡子さんが実家に戻った。父親はその数年前に他界している。
いずれ結婚するだろうと思いながら5年近くも交際していた2歳年上の同僚とは破局してしまった。久しぶりの実家暮らしで気が緩んだ聡子さんは「結婚相手ではなく恋人がほしい」という緩めの婚活スタートを切った。
「使ったのはいわゆる恋活アプリです。100人以上とはマッチングして食事に行きました。そのうち3人とはお付き合いしましたが、長続きした人はいません。無料のアプリなので変な人も当然います。露骨に体目的だったり、既婚者だったり……」
アラフォー以降の婚活は、カウンセラーとの相性も重要
パートナーはいなくても、ライブや音楽フェスに行けば楽しい。でも、何かが欠けている気がする。尊敬していた父はすでにいないし、仲のいい母もいずれはいなくなる。兄と姉は家庭があって子育てに忙しい。甥っ子姪っ子を可愛がっているけれど、本心では自分の子どもが欲しい――。遊び相手ではなく結婚相手が必要なのだと悟ったとき、聡子さんは40歳になっていた。
「2人の友人が結婚したという大手の結婚相談所に入会しました。でも、お見合いしてから何度かデートしたのに理由がわからないままフェイドアウトされたり。コロコロ変わる担当カウンセラーは親身になってくれず、嫌になってしまって1年で休会しました」
アラフォー以降の婚活は男女ともに苦しいことが多いので、結婚相談所の場合はカウンセラーとの相性は重要だ。「この人の言うことなら耳を傾けられる」「会うだけで元気をもらえる」という信頼感を持てなければ、お見合い相手探しから成婚に至るまでのさまざまな局面を乗り切るのは難しい。
聡子さんは以前から気になっていた別の大手結婚相談所に切り替えた。明るく前向きなカウンセラーが揃っていて、自分の性格に合っていると感じた。そして、入会1カ月後にお見合い申し込みをしてくれた秀樹さんと会うことになった。
「できれば前後3歳ぐらいの男性と結婚したいと思っていたので50代からの申し込みは断っていたんです。でも、主人(秀樹さん)の写真がいかにも優しそうで真面目そうだったので、お見合いOKをクリックしてしまいました」
その結婚相談所に漂うやたらに前向きな雰囲気に背中を押されての心境の変化だったのかもしれない。しかし、会ってみると秀樹さんは恥ずかしがりの口下手で、「会話のキャッチボール」ができない相手だった。
「何を考えているのかもわからないし、私のことをどう思っているかもわかりません。かなりしんどい時間だったので、(お互いに結婚相手を探す)結婚相談所での出会いでなかったらもう一度会うことはなかったと思います」
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