「ガチャで借金200万円」唯一の居場所とその代償 頼りにされている、期待されていると感じた

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ユウイチさんによると、現在は節約のために食事は1日1回。生来の不器用さから自炊は無理だったといい、いつも決まった牛丼チェーン店に行く。野菜をほとんど取っていないからか、最近の健康診断では、医師が驚くほど血液のpH値が酸性に偏っていることがわかった。コレステロール値と尿酸値も基準値をかなり上回っていたという。

典型的な貧困による健康格差である。ユウイチさんは「でも、できることといったら、(牛丼チェーン店での)大盛りをやめてサラダにすることくらいですよね」と苦笑いする。

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就職活動も難航している。正社員を希望し、転職支援サイトを通して応募を続けているが、書類選考の時点で落とされる。非正規雇用にも対象を広げたが結果は同じ。このまま仕事が決まらなければ、ハローワークで障害者雇用を探そうと考えている。

ただあまり焦りはないという。ユウイチさんは理由について次のように説明する。

「友達と会話しているような経験が楽しかった」

「30歳くらいまでは“普通の人”へのあこがれがすごくありました。普通は結婚をして家や子どもを持ちますよね。でも、最近は自分は自分。なれないものになろうとするんじゃなくて、身の丈に合った生き方をしよう。自分と普通の人とでは土台が違う。そう考えると、以前のようなしんどさや孤独感がなくなりました」

「普通」という言葉を繰り返しながら、そこにはどこか自らに言い聞かせるような響きがあった。

ユウイチさんは「ゲームというより、友達と会話しているような経験が楽しかった。これってゲームで借金をする人のあるあるなんじゃないでしょうか」とも言っていた。

最後に、ゲームで借金をつくったことを後悔していますか? と尋ねてみた。ユウイチさんしばらく考えた末にこう答えた。

「後悔はない、です。自分にとってはいい思い出でした」

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
藤田 和恵 ジャーナリスト

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ふじた かずえ / Kazue Fujita

1970年、東京生まれ。北海道新聞社会部記者を経て2006年よりフリーに。事件、労働、福祉問題を中心に取材活動を行う。著書に『民営化という名の労働破壊』(大月書店)、『ルポ 労働格差とポピュリズム 大阪で起きていること』(岩波ブックレット)ほか。

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