だが、彼女とはマナリの宿の食堂で小1時間くらい話したきりなので、まだこの街にいるのか、もう他の場所に旅立ってしまったのかもわからない。
心のどこかで「ここにいればいいなぁ」と、うっすらと期待してしまっている自分がいた。
RPGで見た“はじまりの街”に実際に立つ
運転手に聞いた話によると、カザは新市街と旧市街に分かれていて、新市街のほうには学校や病院、割と新しい住宅があり、宿を探すなら旧市街のほうがいいとのこと。
街ゆく人に英語で旧市街の場所を聞くと、多くの人が英語を喋れることに驚いた。道端に座っている40代くらいのジーンズをはいた男性に中心街の場所を聞くと、わざわざ立ち上がり、優しい笑顔を浮かべながら丁寧に行き方を教えてくれた。
スピティはヒマラヤ登山やトレッキング目当てに人々が集まる場所としても知られている。その中心地であるカザの旧市街は、スピティ川が流れる渓谷に沿って約160kmにわたり点在する小さな村の「はじまりの街」と呼ばれている。
その呼び名にふさわしく、ジブリ作品やロールプレイングゲームに登場する「旅の準備をする街」の様相を呈していた。
商店が立ち並び、八百屋などの食料品や洋服などの日用品、雑貨。日本の登山ショップには到底敵わないが、リュックサックやクリップなどの必要最低限の登山グッズが売られている。
観光客に向けた可愛いチベットのアクセサリーを売っている路面店も見かけた。ただ、常に人が溢れかえっていた北インド中心部の街々のような活気はなく、人通りが少なく物資も乏しいという印象を受けた。
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