熱心な人ほどこの「ダメな勉強法」で失敗している ちまたにあふれる「効率的なやり方」こそ危険

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好みで単語暗記カード(昔からフラッシュカードに使われてきたもの)を使ってもよいでしょう。はぎとり式のメモ帳を使うのなら、ページの左側に問題を書き、右側に答えを書きましょう。あるいは、フラッシュカード作成専用のデジタルプラットフォームを利用してもよいでしょう。

声に出して答えると記憶に定着しやすい

問題は両方向からつくるとよいでしょう。つまり、用語の意味を問う問題――たとえば「機会費用とは何か?」――をつくったら、今度はその意味を問題文にして用語を問う問題――「何かを選択したときに、選択しなかったものから得られたであろう利益のことを何というか?」――をつくっておくのです。一方向から問題を覚えておけば、その逆側から問題が出されても自動的に答えられると思うかもしれませんが、記憶がそのように働くとはかぎりません。

内容をカバーする質問と答えをすべてカードに書き込んだら、自分に質問して、解答を見ずに答えられるかを確認します。ここではもうひと工夫して、より効果を上げましょう。

第一に、解答は最初から隠すようにします。つまり、最初に問題と解答をただ読むのではなくて、最初から問題に答える。そのほうが学習の効果が高まることが研究でわかっています。

第二に、答えるときは声に出す。それにより学習の効果が高まるという研究成果があります。

最後に、自分で自分に問題を出すなら、試験と同じ出し方にしたほうがよいでしょう。毎回同じ順番で自分に問題を出していると、たとえば問題34の解答を聞けば問題35の解答は思い出せるけれども、問題16の後に問題36を出されると、答えられなくなるのです。デジタルのアプリなどを利用しているのであれば、問題の順番をランダムにするのは簡単。あるいは、単語カードを使っているのなら、シャッフルすればいいだけです。

脳はあなたに、もっと簡単そうで、すぐに達成できるエクササイズを選ぶように命じるでしょう。想起練習をするときにも、まさにこの問題に直面します。なかなかうまくいかず、すぐに効果を実感できなくても、記憶をしっかりと定着させるには、このやり方が正しいのです。

ダニエル・T・ウィリンガム 心理学者

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Daniel T. Willingham

ヴァージニア大学心理学教授。過去に「学習と記憶」に焦点を当てた研究を行い、現在は、K-16教育(幼稚園から大学までの教育)への認知心理学の応用を研究テーマとしている。『教師の勝算』(東洋館出版社)をはじめその著作は23カ国語で出版されベストセラーに。2017年、オバマ米元大統領より全米教育科学委員会の委員に任命された全米屈指の教育のプロフェッショナルでもある。

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