中国「恒大集団」、債務超過11兆6000億円の激震 延期していた2021年と2022年の決算を開示

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例えば、恒大集団は大部分の不動産開発プロジェクトの着工にあたり、建設会社や資材の納入業者と「一括請負方式」の契約を結んでいた。

この方式では、建設会社や納入業者が自己資金を投じて先に工事に着手し、恒大集団は代金を後払いしたり、(後日の支払いを約束する)手形で決済したりする。そのため、恒大集団の支払いが滞れば、危機がたちまち取引先に波及するのだ。

開示された恒大の決算報告書(写真は編集部撮影)

今回開示された決算報告書によれば、恒大集団の取引先に対する未払い金は2020年末時点の8291億7000万元(約16兆335億円)から、2022年末には1兆元(約19兆3368億円)に増加。そのうち建設資材の未払い金は、2022年末時点で5961億6000万元(約11兆5278億円)に上っている。

会計監査人は「意見不表明」

留意すべきなのは、今回開示された決算報告書は恒大集団の財務の実態を必ずしも正確に反映していない可能性があることだ。

恒大集団は2023年1月、同社の新たな会計監査人として、香港の監査法人の上会栢誠と契約したと発表した。その上会栢誠は、恒大集団の2021年と2022年の決算に対して、それらの適正性を証明できない「意見不表明」の判断を示した。

本記事は「財新」の提供記事です

「恒大集団の事業の継続性には多数の不確定要素が存在する。会計監査人は恒大集団の決算の期首残高や財務数字の比較に関する十分な証拠を取得できておらず、これらの数字は不正確である可能性がある」

意見不表明の理由について、上会栢誠はそう説明している。

(財新記者:陳博)
※原文の配信は7月18日

財新 Biz&Tech

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