幼児教育で「子ども主体の保育」がうたわれて5年

2017年3月に「保育所保育指針」など子ども関連の3法令が改正され、「子ども主体」の保育の重要性がうたわれて5年が経過した。これに伴い行われたベネッセコーポレーションと玉川大学の大豆生田啓友教授・岩田恵子教授との調査(2023年1~2月、全国の1062の保育園・幼稚園・こども園から有効回答)によると、「子ども主体の保育」について「重要である」と考える園は99.7%とほぼ全園に上ることがわかった。

今後、「もっと子ども主体を実現したい」と考える園も約9割という。保育園・幼稚園・こども園の種別を問わず、ほぼ同様の結果だといい、園種を超えて「子ども主体」の重要性が認識されていることが明らかになった。

「子ども主体」の園は関わりが応答的で保育計画見直しも柔軟

一方、実現できているのは2割にとどまることが判明。同社は「子ども主体」の実現度を測るに当たり、「変化への柔軟性」と「保育内容が大人主導か子どもの姿ベースか」の2点を評価指標に、それぞれの強弱で、下図A~Dの4グループに分類した。

「子ども主体」の保育についての調査結果のプレスリリースより

Aは「”子ども主体”」を尊重(22.2%)、Bは「集団としての自主性を尊重」(26.6%)、Cは「”子ども主体”へ試行錯誤中」(30.6%)、Dは「集団としての指導を重視」(20.6%)。Aは子どもへの関わりが応答的で、一人ひとりの子どもの姿から保育の計画を柔軟に見直す形で実現できているという。CがAと異なるのは、園内の一体感や保育者同士の子どもの姿の語り合いの有無、記録の充実度などだという。

BとDは「一人ひとり」ではなく「集団としての活動」を重視しており、統制的な関わりや一斉活動が多く、「あらかじめ決めた計画どおりに活動する」傾向が強い。また、調査からは「子ども主体」でない園は職員の採用や離職という問題も抱えやすく、職員体制が整わないことから安全リスクへの課題があることも示唆されたという。

調査結果プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001160.000000120.html

調査結果・考察の詳細:https://hoiku.benesse.ne.jp/info/20230428/index.html