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「価値ないズワイガニ」まで獲る日本漁業の異様 深刻な水産資源の減少、資源管理に構造的な欠陥

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  • 片野 歩 Fisk Japan CEO/東京海洋大学 特任教授

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北海道産のズワイガニ。可食部はほとんどない(写真:筆者提供)

5月30日に農林水産省から2022年の日本の漁業・養殖業生産量が発表されました。前年比7.5%減の386万トンと、1956年に現行調査を開始して以来、初めて400万トンを下回りました。

サバ類やカツオが大幅に減少し、サンマやスルメイカ、タコ類の漁業生産量は、前年に続き過去最低を更新。これらの魚種だけではありません。さまざまな魚で「昔はもっと獲れていた」という悲しい話が、全国で増えています。

FAO(国連食糧農業機関)は、2020年比で2030年の世界の生産量を予測しています。世界全体では13.7%増の予測であるのに対し、日本は7.5%の減という予測でした。

それどころか2022年時点での生産量は9%も減っており、すでにFAOの予測より悪化が加速しているのです。しかし、このような報道はほとんどされていないので、水産資源の減少が深刻であることはあまり知られていません。

小さなズワイガニまで漁獲してしまう日本

資源自体が減っているので、「今年は不漁でも来年に期待!」などという楽観的な状態ではありません。そもそも水産資源に関する信頼できる情報がほとんどないため、「海水温の上昇」や「外国が悪い」「クジラがたくさん食べるから」といった理由を信じている方は少なくないはずです。

もちろん、これらの要因も水産資源に影響を与えます。しかしながら、世界全体では水揚げ量が減っていないのに、なぜ日本だけ減り続けるのか気づいていただきたいのです。日本の周りだけ海水温が上昇したり、クジラが多くいたりしません。また、外国船が操業していない瀬戸内海でも魚が減り続けているのが現実です。資源管理の不備から起きている乱獲に目を背けてはなりません。

売れ残っていた北海道産のズワイガニ(写真:筆者提供)

こちらの写真は毎年春ころに売れ残る小さなズワイガニです。サイズからメスだと思って撮影用に買ったら、驚いたことにオスでした。可食部が少なく、ほぼ食べるところがありません。メスだけでなく、まさかこんな小さなオスまで水揚げされているとは……。

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【「獲り放題」状態の日本】

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