──なぜ座間事件に着目を?
考察しないわけにはいかなかった。前著の『失踪の社会学』では、親、配偶者、恋人などとの二者関係が死ぬほどつらいとき、この「親密圏」の外にいる第三者に連れ出してもらうことで逃げられる、と結論づけた。現代では失踪のような行為が求められるフシがあると、部分的に肯定したのだ。
ところが、本の発売から約半月後に発覚したのが座間事件だ。犯人の白石は、私が指摘した第三者の持つ可能性の負の側面を最悪の形で体現したといえる。
失踪を単に肯定すれば、悩んでいる人をこうした危険人物に遭遇するリスクにさらすことになる。そこで「死にたい」とつぶやく人が親密圏から第三者に連れ出されがちなメカニズムを考え始めた。
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