幸いにも今のNPBにはヤクルトの村上宗隆、ロッテの佐々木朗希、オリックスの山本由伸など、上り調子の若武者がたくさんいた。これに加えて今回はMLB側のハードルが低かったこともあり、エンゼルスの大谷翔平、パドレスのダルビッシュ有とトップクラスの実績を誇る大スターの参加が決まった。
さらに今季からMLBに挑戦するレッドソックスの吉田正尚(前オリックス)も参加する。カブスの鈴木誠也は故障で辞退したが、今、そろえることのできるベストメンバーだったのは間違いない。
MLBのキャリアは1年半のヌートバー
栗山監督は、このリストにもう1人、まったく意外な選手の名前を加えた。カージナルスのラーズ・ヌートバーだ。彼の母親は埼玉県出身の日本人。
WBCでは今回から
・親のどちらかが、その国の国籍を持っている
・親のどちらかが、その国で生まれている
・その国の国籍または、パスポートの取得資格がある
などの基準で、外国在住の選手も招聘できるルールを作った。ヌートバーはまさに、この基準に合致したのだ。
日系メジャーリーガーという点では、ヤンキースの正遊撃手のアイザイア・カイナーファレファ、同じくヤンキースの捕手カイル・ヒガシオカ、ブリュワーズの内野手ケストン・ヒウラなどの名前も挙がっていた。
これらの選手は「資格」の面で微妙な部分もあったようだが、それにしても彼らより無名のヌートバーが選ばれたことは、意外だった。
しかしヌートバーはまだMLBのキャリアは1年半にすぎないが「将来、一流選手になるのは間違いない」と見られている。2018年ドラフト8巡目(全体243位)とプロ入りは目立たなかったが、わずか2年でA-、A+、AA、AAAとマイナーの階段を駆け上がり、コロナ禍をはさんで一気にメジャーに昇格した。MLBでは見どころのある選手(プロスペクト)は階級をどんどん引き上げる。ヌートバーはレベルが上がっても結果を出し続け、名門カージナルスの外野のポジションを獲得したのだ。
栗山監督は選手の実績ではなく「将来性」で選手を選んだ。幸いにもヌートバーは、本当にナイスガイで、まだ来日する前から、日本のファンは注目し始めたのだ。
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