来年の米中間選挙の行方を占うと注目された今月2日のバージニア・ニュージャージー両州での州知事選挙の結果は、バイデン大統領の与党・民主党にとって大きな痛手となった。昨年の大統領選挙の投票では共和党に10ポイントの差をつけていたバージニア州で民主党候補が破れ、事前世論調査では同党候補が大差で優位だったニュージャージー州では辛勝だった。
とくにバージニア州では選挙戦最終段階で、初中等教育現場での「批判的人種理論(CRT)」(10月23日号当欄参照)が争点となり、CRTに基づく人種問題教育を「行き過ぎ」と非難する共和党候補が支持を集め勝利したと分析された。「教育問題こそ決定的争点」との声も出た。
教育をめぐっては、初中等教育現場でCRTが注目されているだけではない。大学におけるキャンセルカルチャー(5月22日号当欄参照)の横行も、保守派だけでなく中道派や穏健左派からも批判されている。人種やジェンダーをめぐる発言で教師が学生や同僚の非難を受け、辞めさせられるケースがここ数年急増している。この問題もCRTも米国の分断の正面戦線として注目されている。
大学のキャンセルカルチャーについては社会心理学者ジョナサン・ハイトと法律家グレッグ・ルキアノフが著した『アメリカン・マインドの甘やかし』(2018年、未邦訳)がベストセラーになった。その著者らが2州知事選を前に公表した米国の分断状況に関する論考は、極めて興味深い。多くの指摘から注目すべき点を紹介する。
CRTもキャンセルカルチャーも過激な左派現象と見なされているが、左派の過激化は右派のトランプ現象に先立つ14年ごろ、オバマ政権下で始まっている。きっかけはミズーリ州ファーガソンでの警官による黒人青年射殺事件などが起きたことだ。一挙に人種対立意識が高まり、教員を辞職に追い込む大学でのキャンセルカルチャーの事例も、同じ頃から急増し始めた。
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