米株式市場でテスラの評価がうなぎ登りだ。10月25日に時価総額が初めて1兆ドル(約113兆円)を突破。レンタカー大手の米ハーツ・グローバル・ホールディングスが、10万台の電気自動車(EV)をテスラから調達することが株価を押し上げた。1兆ドルの時価総額は、約30兆円のトヨタ自動車の4倍となる規模だ。GAFAの一角、フェイスブック(現メタ)の時価総額をも超えている。
今や「世界最強」の自動車メーカーとなったテスラの動きで注目なのが、テキサスへの本社移転だ。イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は10月7日、カリフォルニア州パロアルトからテキサス州オースティンに本社を移すと発表。シリコンバレー企業ではすでにオラクルやヒューレット・パッカード・エンタープライズが、シリコンバレーからテキサスへの本社移転を表明している。
なぜテスラはテキサスへ移転するのか。まず挙げられるのが税金だ。テキサス州では個人、法人とも所得税がゼロだ。次に相乗効果。マスク氏は宇宙開発ベンチャー「スペースX」も経営する。同社は衛星経由のネット接続サービス「スターリンク」の提供のほか、宇宙旅行事業などを拡大中だ。スペースXの開発拠点はテキサスにあるため、テスラの本社移転で新たな事業展開が可能となるだろう。来年発売予定の新車「サイバートラック」はスペースXの宇宙船用合金を採用するなど、協業がすでに広がっている。自動車の自動運転と宇宙船の自動制御とのアルゴリズム共有といった余地も大きい。
独自のエコシステム
テスラの移転に伴い「脱シリコンバレーがさらに加速するのでは」との見方もあるが、本当だろうか。スタートアップや技術の最先端を知ろうとする大企業にとって、「シリコンバレーの優位性は変わらない」と筆者は考えている。その理由は、ヒト・モノ・カネのエコシステムがそろっている点だ。
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