9.11テロから20年経ち、米軍はアフガニスタンから撤退、同国ではタリバン政権が復活し、結局は振り出しに戻ったような徒労感だ。いや、この間9.11のようなテロ事件の再発は防げたという反論はある。だが、それは米国に限っての話だ。
この20年、世界では大規模なイスラム過激派テロは何度も繰り返された。9.11以降に世界85カ国で展開された対テロ戦争が引き金になり、3700万人の難民が生じた。ハイテク戦争で米兵の死者こそ約7000人に限定されたが、民間人も含め80万人が死んだ(米ブラウン大学まとめ)。
その結果、米国の世界的威信と指導力は低下。並行して、トランプ現象に象徴されるように米社会は混迷に陥った。アフガン撤退は、むしろそうした社会の混迷の結果といえる。米国民はもはや「世界的威信や指導力」など、どうでもよくなった。そうなった思想的背景は何だったのか。
重要な問題の1つは、9.11後に「レジームチェンジ(体制転換)」、あるいは外からの介入による「ネーションビルディング(国づくり)」という考え方が一時、米国の指導層を幻惑したことだ。いわゆる「民主化路線」である。
この思想は、21世紀における米国の課題である対中国政策でも働いた。9.11テロと、米国が後押しした中国のWTO加盟が同じ2001年に起きたことは見逃されている。新世紀最初の年に起きたこの2つの出来事が今日の米国の混迷、威信低下の原点といえる。
9.11テロを受けて米政府はアフガン・イラク両戦争に踏み切り、両国だけでなく、中東全域での体制転換を通じた「国づくり」による民主化追求の野心を隠さなかった。一方の中国WTO加盟も、経済発展を通して中国の民主化を促すというシナリオだった。
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