「もう誰も無関係ではない。これは最大レベルの脅威だ。本気で取り組まないと、命も資産も失う」
気候変動に関してバイデン大統領がこう発言したのは9月8日、ハリケーン・アイダの爪痕が残るニューヨーク・クイーンズでのことだ。大統領は前週、アイダが大きな被害をもたらした南部のルイジアナ州も訪れている。各地での談話が報じられる中、時間が経つほど気候変動の脅威を声高く訴える内容になっている。米国民に今こそ目を覚ましてもらわなければ、という切迫感がうかがわれる。
米国は近年、多様な自然災害に見舞われてきた。2005年のハリケーン・カトリーナは、メキシコ湾岸地域で1800人以上の死者と1000億ドル以上の被害を出した。東海岸を襲った12年のハリケーン・サンディーでの死者は117人以上で、被害額は約700億ドルだ。ここ数年では、カリフォルニア州などの西海岸地域で長期にわたる山火事が収まらない。また21年夏には、冷涼な北西部のワシントン州を熱波が襲い、自宅にクーラーのない住民など100人以上が亡くなった。同時期にカリフォルニア州内陸部では、摂氏54.4度というとんでもない気温を記録した。
被害総額は950億ドル
それでも、米国民はこうしたニュースをひとごとのように傍観していたところがある。広大な大陸の一部で悪天候が起こっても、自分が住む地域は無事だという根拠のない安心感だ。ところが今回のアイダによる大雨で、ニューヨークの地下鉄駅に怒涛のように水が流れ込む映像などが伝えられた。「ついに気候危機の攻撃を受けた」という大統領の言葉が、ようやく現実感を持って共有された。
約10日経った時点で、アイダによる死者数は82人を超えたことが明らかになった。車に乗ったまま洪水に流された人々や、地下のアパートで溺れた住民も多い。災害時の停電でクーラーが使えず、熱中症で亡くなった人もいる。メキシコ湾岸地域では、100万戸以上の住宅が倒壊や洪水の被害に遭ったとされている。被害総額は950億ドルに上る。
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