フェイスブック(FB)が新しいビジョンを打ち出した。「メタバース」だ。
メタバースとはインターネット上に構築された仮想の3次元空間を指す。あらゆるデバイスからアクセスでき、実社会のような交流や活動をリアルタイムで体験できるデジタル世界だ。SF映画のような話に思えるが、かつてブームになった「セカンドライフ」や、世界のプレーヤーと交流できるオンラインゲーム『あつまれ どうぶつの森』の進化版と言えばイメージしやすいだろうか。米スタンフォード大学が支援するベンチャー企業、Anifieがメタバース上のライブ事業を手がけるなど、裾野が広がりつつある。
FBのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は、7月28日の4~6月期決算会見でメタバースについて言及。今後、同社がソーシャルメディア企業からメタバース企業に変わると示唆した。8月19日には新サービス「Horizon Workrooms」で取材に応じた。アバターを作成した参加者はVR端末を使用、仮想空間で図を描いたり、身ぶり手ぶりで意思を伝えたりする。違った場所や国にいる参加者でも同じ空間にいるような感覚を可能にしている。
FBの注力事業転換の背景にあるのは成長鈍化への懸念だ。新型コロナ禍によるネット利用の拡大を受け、4~6月期決算はネット広告収入が大きく伸びた。だが、アップルが4月から、iPhoneでのアプリ利用者の情報収集を許可制にした。FBが得意とする利用者に合わせた広告表示が難しくなり、今後の売り上げ成長の減速が懸念されている。
アプリというソフトに依存するFBにとって、ビジネス上の懸念材料はハードだ。スマートフォンやタブレット、PCといったハード面をアップルやグーグル、マイクロソフトなどに押さえられている。アプリ利用を制限するアップルのような事例が続けば、さらなる困難が避けられない。
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