警察官によるジョージ・フロイドさん窒息死事件に抗議するブラック・ライブズ・マター(BLM)運動が大きく盛り上がって1年余り。運動への市民の支持は下がり、事件前のレベルに戻った。他方で、一時は「予算を減らせ」という抗議の声を受けた警察への支持は上がっている。背景は、都市部における犯罪・治安への市民の懸念だ。警察への予算配分はわずかながら上昇している。
その背後の市民の心理を映し出したのは、ニューヨーク市長選挙の民主党候補選びだ。治安維持が争点となる中、元警察官で黒人のエリック・アダムズ氏が6月の投票で僅差ながら勝利した。同市では民主党が圧倒的に強いことから、秋に市長に選ばれるのは確実とみられ、史上2人目の黒人ニューヨーク市長が誕生する見込みだ。
アダムズ氏は、エリート層が多いマンハッタンの民主党員ではなく下町の黒人や中南米系の労働者らの強力な支持を受けて勝利した。白人労働者らからも支持された。勝利が決まった後すぐに全国向けのテレビ番組で、警察官増強による治安強化を訴えている。
元警察官のアダムズ氏勝利の背景をめぐっては、いくつも分析がなされており、いずれも興味深い。USAトゥデー紙が3月に報じた世論調査によれば、BLM運動への「信頼」は、フロイドさん事件後に一挙に上がって昨年6月には60%に達したが、今年3月には50%まで下がった。これに対し、警察への信頼は昨年6月には56%だったのが、今年3月には69%まで上がり、信頼度は警察のほうが19ポイントも高くなった。
銃撃事件は73%も増加
ニューヨーク市では、5月の犯罪発生率が前年同月比22%増えた。5月は6月22日の民主党候補者選び投票の直前月だ。とくに昨年夏以来、銃撃事件が急増しており、前年同月比73%増に達した(ニューヨーク市警発表)。他の大都市でも犯罪増の傾向がみられる。
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