米国経済は新型コロナウイルスの混乱から急速に回復しつつある。だが、インフレや労働市場、投資などは予測不可能な形で変化している。こうした要因の1つとして、中国との経済競争に関する米国の政策も挙げられる。現在、ワシントンで行われている経済改革の議論で興味深いのは、国際協調の外向き派と国内重視の内向き派、両方の政治的見解が同時進行していることだ。その進め方や同盟国との調整方法については、不透明感が高まっている。
足元では2つの重要な経済政策が具体化しつつある。バイデン政権は6月8日、米国のサプライチェーン(供給網)を見直す報告書を発表した。また米上院も同日、米国の先端技術の競争力向上を目指す「米国イノベーション・競争法案」を可決した。この2つの動きは、半導体や通信、バイオテクノロジーといった分野で、国内の研究、教育、製造に多額の資金を提供することを約束するもので、比較的幅広い超党派の支持を得ている。だが、サプライチェーンの多様化と競争力の強化という2つの取り組みには、外向き派、内向き派という異なる政治的背景がある。
最も注目されているのは、中国に対する国家安全保障上の利益を重視する、共和党員と民主党員(バイデン政権内の一部を含む)の外向き派で、同盟国との関係を大切にしている。最大の目的は、重要な技術分野で競争力のある米国企業を強くし、中国の経済力や台湾に対する行動への戦略的脆弱性を低減することにある。半導体分野が主な懸念材料で、中でも同盟関係にある台湾の台湾積体電路製造(TSMC)は、半導体で有数の技術力を誇る。このグループの政策立案者は米国の新しい研究・製造能力への助成を推進しており、投資先や同盟国との協力については柔軟な考えを持つ。また、大容量バッテリー、人工衛星、通信といったほかの技術分野にも同様のアプローチを提唱している。
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