経済再開が進む米国で、人手不足問題が浮上している。ニューヨーク市の中心街を歩くと、「経験豊富なバーテンダー求む!」などの貼り紙が目に飛び込んでくる。「これほど多くの店が一斉に求人を行うのは初めてだ」。レストラン業界が苦境に陥る中、「ニューヨーク市ホスピタリティー・アライアンス(接客連合)」の常任理事として奔走するアンドリュー・リジー氏は、そう話す。
米労働統計局が6月4日発表した5月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数が前月比で55万9000人増えたものの、市場予想の65万人増を下回った。また5月11日発表の求人・離職調査によると、3月末の求人数が全米で810万人という記録的高さに達する中、採用数は600万人と、ほぼ変化がない。米商工会議所の6月1日付報告書は、人手不足が経済の足かせになっていると答えた州・地方レベルの商工会議所が全体の9割以上と指摘している。
ニューヨーク市の4月の失業率は11.4%と、全米平均の2倍近い。それなのに、人手不足を嘆くレストランが多いのはなぜか。
米マサチューセッツ工科大学経営大学院のトーマス・コーカン教授によれば、低賃金労働の採用が難航しているのは、感染懸念や客足減によるチップ収入の低下など、諸事情がある。「人々が復職に慎重になっている」(同教授)。
9月6日で失効するが、連邦政府の失業保険追加支援策も再就職のインセンティブに影響しているという指摘もある。さらに減収で離職したレストランの店員らはすでにほかの仕事に転職し、飲食業に戻ってこないという声もある。
ニューヨーク市ではコロナ禍で5000軒のレストランが倒産したともいわれ、破綻の瀬戸際にある店も多い。同業界の雇用は今もコロナ禍前の4割減だ。働き手が集まらないため、「このままだと厨房の自動化しかない」と訴える店主もいるほどだ(米FOXニュース5月11日付)。
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