「コロナ後不安症」「社会不安症候群」「再入場不安」「広場恐怖症」──。これらは今、米国の精神科医や心理学者らが頻繁に口にする用語だ。いずれも、コロナ禍中の自粛生活を終えて世の中へ出ていくことに対して、人々が抱える不穏な心の状態を指している。
実際、米国心理学会(APA)の調査によると、ワクチンを受けたかどうかにかかわらず、米国人の約半分は、コロナ後に面と向かって他人と会うことに不安を感じているという。
米レンセラー工科大学で教える神経科学者のアリシア・ワルフ氏は、「社会的孤立は、ストレスホルモンのレベルを上昇させ、ネガティブな影響を長期的に身体に与えた」とし、「脳が元の状態に戻るには長い時間がかかる」と説明している。コロナの体験を、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に例えて、その影響は長引き、そこから逃れるのに時間を要すると語る心理学者もいる。
各地で始まりつつあるコロナ後のノーマルな生活も、ただうれしいばかりでなく不安に満ちたものだということだ。警戒心が解けない、会話やおしゃれなどのソーシャルスキルがさび付いた、1年以上何も達成しなかった自分への後悔など、人々が不安を感じる原因はさまざまだ。
会社員にとっては、自由時間も楽しんでいたリモート勤務の終焉は残念なものでもあるだろう。勤務を開始した企業では、社員がゆっくりと再スタートを切れるよう、初日に懇話会のような場を設けているようだ。
企業トップは出社求める
一方で、トップが職場復帰にあからさまなプレッシャーをかけるケースも報じられている。
モルガン・スタンレーのジェームス・ゴーマンCEO(最高経営責任者)は、「ニューヨークのレストランに行けるのなら、オフィスにも出勤できるだろう」と、9月初めまでに社員全員が職場に復帰することを求めている。JPモルガンのジェミー・ダイモンCEOも、「やり手社員なら在宅では無理と思うはずだ」とか「当然、誰も通勤は好きではない。しかし、それがどうした」と語っている。
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