6月末にトランプ前大統領が、テキサス州南部の米メキシコ国境を訪れた。バイデン政権の移民政策を糾弾するなど意気軒高だったが、そのトランプ氏を招いたのが、同州のアボット知事である。国境まで同行した同知事は、「今こそ国境を閉鎖するときだ」と述べ、まるでトランプ氏が乗り移ったかのようだった。
米国では、民主党のバイデン政権に対し、共和党が州政府を足がかりに攻勢を強めている。その急先鋒が、共和党のアボット知事が率いる南部テキサス州である。
同知事は、トランプ流の強硬な対移民政策で、バイデン政権に対峙する。また、トランプ氏が始めた米メキシコ国境への壁の建設を引き継ぐ計画である。さらに、親の同伴なしで国境を越えて入国した子供を一時的に収容してきた施設に関し、州政府による認可を取り消す方針を明らかにしている。越境してきた子供の行き場が失われかねず、バイデン政権は強く反発している。
共和党による乱は、テキサス発の移民問題に限らない。大きな注目を集めているのが、投票規制の強化である。共和党が地盤とする南部ジョージアなど14の州では、投票資格の確認手続きを厳格にするなど、投票を難しくする改革が、共和党の主導で実現している。民主党支持者には黒人などが多く、非白人層が不利になる可能性が高い。人種差別的な傾向を問題視したバイデン政権は、ジョージア州を裁判に訴えている。
昨年11月の選挙で大統領と連邦議会の多数党の座を失った共和党にとり、州政府は残された貴重な拠り所である。同じく昨年11月に行われた地方選挙では、共和党が議会の多数派である州が28から30に増加している。このうち23州は州知事も共和党であり、同党が知事と議会の多数派を握る州の数は、民主党の15州を上回る。
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