低所得者などに無条件で定額の現金を支給する「ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)」が、米国で始まろうとしている。カリフォルニア州議会は7月15日、UBIを政策として進めることを可決。3500万ドルの予算を充て、州内の自治体や組織から運営主体を募る計画だ。今回の政策は、米国で初めて税金で運営するものとなる。
UBIはこれまで、ほぼ夢物語として捉えられてきた。概念自体は16世紀から存在する。米国では1960年代に、公民権運動で知られるマーティン・ルーサー・キング・ジュニアが唱え、また当時のニクソン大統領が法案を出したものの上院で却下された経緯がある。近年では2016年ごろに、シリコンバレーのテック企業の経営者らが提唱した。だが今までは、そうした動きがはっきりとした実を結ぶことはなかった。
ところがここ数年、全米各地で財団などの資金を使った試験プログラムをスタート。カリフォルニア州内の数都市やシカゴ、ニューヨーク市などで数十人の規模で実施するようになっていた。対象はアフリカ系のシングルマザー、低所得の高齢者などさまざまだ。
今回のカリフォルニア州の支給対象はシングルマザーとなる妊娠中の女性、養護施設出身の若者、アーティストなど。支給額は月500~1000ドルとみられ、自治体が受給者を決定する。
UBIについては、賛成・反対の意見が分かれてきた。賛成派は、経済や人種による格差を是正する、現状の政策の不備を補う、生活保護などの支出よりも安くつくといった理由を挙げる。シリコンバレーの経営者らは、「UBIは21世紀社会のワクチンだ」として、「自動化による失業者や都市のジェントリフィケーション(高級化)により住まいを追われた人々を救い出す」などと訴えていた。反対派は、無条件の施しは与えるべきではない、人々を怠慢にするなどと主張する。
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