2020年の日本の貿易収支は3年ぶりの黒字となった。日本の巨額黒字が欧米をいら立たせていた時代を知る者としては隔世の感がある。だが、東日本大震災以降、貿易収支が赤字基調となっている。原子力発電の停止に伴う火力発電用燃料の輸入急増が直接的な原因だ。もっとも製造業の競争力低下や海外現地生産の拡大といった構造変化も背景にある。
そんなことは本誌の読者ならご存じかもしれない。では、今や貿易黒字を稼がせてくれる相手が実質的には3つしかないといえば驚かれるだろうか。
日本の貿易黒字の相手として最大なのはいうまでもなく米国で、昨年は5.2兆円であった。次が香港で3.3兆円、韓国と台湾が2兆円弱で続く。一方、貿易赤字が大きいのは中東で3.7兆円、豪州が2.5兆円、中国が2.4兆円。EU(欧州連合)やASEAN(東南アジア諸国連合)に対しても赤字となっている。香港を含む実質的な対中収支は黒字であるが、その額はさほどでもない。つまり貿易面での日本の「お得意さん」は米・韓・台である。
もちろん、日本はすでに所得収支(海外投資など)を含む経常収支で稼ぐ国になっている。それでも貿易黒字が大事なのは、雇用の維持・創出効果が大きい製造業の競争力を表しているからだ。
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