個人投資家がSNS(交流サイト)上で結託して株価を押し上げたゲームストップ問題、SPAC(特別買収目的会社)の株価高騰、ビットコインの価格急騰、デジタル資産のNFT(非代替性トークン)ブームなど、超金融緩和状態の下で醸成された資産バブルの兆候が、年明け後の米国市場では一気に噴き出した感がある。
そこに新たに加わったのが、「ファミリーオフィス」であるアルケゴス・キャピタル・マネジメントの巨額損失問題だ。
ファミリーオフィスとは、資産家一族の資産の運用を目的に設立された組織だ。ファミリーオフィスの大半は未上場で、また自己資産の運用会社という名目であるため、当局への運用情報開示義務を免れる。また、顧客から資産運用を任されていないため、顧客本位の業務運営「フィデューシャリーデューティー」が求められることもない。それゆえに、極めてリスクの高い投資行動も可能となっているのだ。
規制逃れのファミリー
このファミリーオフィスの歴史は、中世の王侯貴族の財産管理にさかのぼるという。以前は個人や一族で築き上げた富を維持することを目的とし、保守的で長期投資の傾向が強かった。それが現在では、少なくとも一部は極めてリスクの高い投資を行う組織へと変貌している。
規制が強化されたヘッジファンドからの規制逃れを狙って、ファミリーオフィスに鞍替えする動きが近年強まったことが、その背景にある。ジョージ・ソロス、ジョン・ポールソン、ジョン・アーノルドら富豪の大物投資家はいずれもヘッジファンドを閉鎖し、ファミリーオフィスを創設したのである。
市場調査会社のカムデン・ウェルスによると、2019年時点で世界のファミリーオフィスが運用する資産は総額6兆9000億ドルに達しているという。その規模は、すでに米ヘッジファンドの運用資産規模を上回っている可能性がある。
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