通貨価値の変動は対外的には他国の通貨との交換レートに表れるが、国内的にはモノやサービスの価格の変化、つまりインフレ率に表れる。モノやサービスの価格が上昇しているということは国内で通貨の価値が下落していることを意味する。逆にモノやサービスの価格が下落していることは通貨の価値が上昇していることを意味する。
日本は他国に比べて物価上昇率が低い、もしくは物価が下落することが多い。これは円という日本の通貨の価値が対外的にも国内的にも上昇している場合が多いことを示唆している。
多くの日本人は日本経済のふがいなさから将来的には円の価値が大きく下落するのではないかと感じているのではないだろうか。私の周りでもそうした声をよく聞く。
しかし、同時に日本の家計は金融資産の50%以上を円建ての現金・預金で保有し続けている。つまり、他国通貨、株式、債券、不動産といった資産などより、円のほうの価値が維持されることについてかなりの自信を持っているのである。だから金融資産の半分以上を円の現金・預金で保有し続けている。そして、過去50年程度でみれば、その判断は多くの期間において正しかった。円は他国通貨に対して上昇し、過去30年程度でみれば、物価もほとんど上昇していない。
日米間のインフレ率の差を消費者物価指数の前年比でみると、1980年代は平均して3.1%ポイント、90年代は2.0%ポイント、2000年から12年までは2.8%ポイント程度米国のほうが高くなっている。ちなみに日米間のインフレ率の差は生産者物価指数でみてもおおむね同じような結果となる。
つまり、米ドルの価値は円の価値に対して年平均2〜3%ポイント下落してきたといえる。実際ドル円相場は82年の1ドル=277円から11年には75円まで下落している。ほぼ物価上昇率の差に沿った、ドルの円に対する価値の下落となっている。
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