中央銀行による流動性相場が続く中、供給された大量の資金は確実にどこかに向かっていた。それが多くの資産市場の価格を上げて今に至る。
いわゆる“合理的バブル”は、それでもいつかははじけてしまうのだろう、という妄想が高まり出した頃のこと。3月初めにグリーンシル・キャピタルが破綻し、その処理過程でGFGアライアンス、リバティ・スチールなど与信先への影響が取り沙汰された。3月末にはアルケゴス・キャピタル・マネジメントに絡む金融機関の多額の損失が浮上した。ファンド関連損失のニュースが増え始めたのだ。
グリーンシル・キャピタルは本社をロンドンに置く2011年創業の金融サービス会社。商取引を行う売り手と買い手の間を取り持ち、債権を流動化して現金化を早める。債権をファンドにして投資家に販売することで利益を上げてきた。ファクタリングを主とする普通の金融ビジネスにも見えるが、短期債務でいささかリスクを取りすぎたことや、グリーンシルの複数の与信先が経営破綻し信用保険の失効などが出たことで、ファンド価格が維持できなくなった。
一方、アルケゴス・キャピタル・マネジメントは、13年創立の個人資産の運用会社である。問題発覚の引き金は、株価下落で生じた。ロング(買い建て)していたバイアコム株が同社のM&A(合併・買収)をきっかけに急落し追い証が必要となったが、アルケゴスは払えなかった。投資の際、見通しが外れることは通常想定されることなのに、追い証が払えないほどレバレッジをかけ、リスク余力を欠いていたことが問題であった。
浮上した2つのファンド問題は、くしくもこれまでのわれわれの体験と似た面がある。グリーンシルのケースは、実体経済のほころびが金融市場に影響をもたらしたことや本来は借りられない借り手に資金が過度に回っていた可能性など、リーマンショックの原因になったサブプライムローン問題に似ている。アルケゴスは、やはり追い証が払えず1998年に破綻したLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)のケースと重なる。LTCMは有名なヘッジファンド・マネジャーがノーベル経済学賞受賞者を経営陣に迎えて安心感を与えていた。
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