老化細胞の生存に必須な遺伝子が「GLS1」だと発見
「老化細胞」とはストレスによってダメージを受けるなどして増殖できなくなった細胞のことです。この老化細胞が臓器組織の機能低下や老年病などの発症を誘発するというのが最も基本的な「老化のメカニズム」。
われわれの研究チーム(東大医科学研究所)は、老化細胞の生存に必須な遺伝子を探し、それが「GLS1」という遺伝子であることを突き止めました。この「GLS1」の働きを止める薬剤を投与したところ、老化細胞が除去され、老化に伴う衰えや生活習慣病が改善されることを証明しました(2021年1月15日に米科学誌『サイエンス』に発表)。
老化研究が注目されるようになったのはごく最近のことです。14年に英科学誌『ネイチャー』で老化の過程は生物種によってかなり異なるということが報告されました。生物種の中には老化そのものが寿命を規定していないものがたくさんいるというのです。ヒトは加齢に伴って死亡率が急激に上昇する生物の典型ですが、ある種のカメやワニなどには、そのような現象が起きません。「ピンピンコロリ」の一生を送る生物がたくさんいるのです。
興味深いことにゾウは、ストレスが加わったときに、自らの体内で傷ついた細胞を老化細胞になる前に死滅させてしまうといわれます。ゾウにはがんがないのです。悪い細胞を体内に残しておくから病気になるのですが、ヒトが老化細胞を残しておくのは個体としてメリットがあり、進化の過程で有利に働いた部分があるのかもしれません。
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