──当初6月の予定だった『朝が来る』公開はコロナの感染拡大で4カ月延期されました。
渾身の力で作っても、映画館が開かないことには見てもらえないのはつらい。公開までに少しでも作品への興味を持ってもらいたいと、6月からインスタグラム上で出演者を呼んでのトークライブを続けてきた。非常時だからこそ監督である自分が創意工夫し、出演者の生の声を届けられないかと考えた。ファンにとっては、俳優さんの普段見られない一面が見られたと思うが、それで満足かといえば違う。彼らが演じる作品を見たいし、直接会えるトークショーに行きたいはず。コロナ禍が明けたとき「分断を超えた先の光」を一緒に分かち合いたい。今はそこへ向かう途中の仕込み期間なのだと思う。
──作品のテーマは「特別養子縁組」。養子が産みの親との法的関係を解消し、戸籍上は養親の実子となる制度ですが、なぜ今取り上げようと思ったのですか。
本作は辻村深月さんの小説が原作。「一回読んでみて」と人に薦められて手に取ったが、運命的な出合いになった。というのも私自身が養子縁組の子どもだから。私にとっての家族は、血のつながりだけではない関係の中で存在するもの。片や日本社会は養子に対して不寛容で「かわいそうな子」とみられてしまう。映画で養子の「朝斗」の視点を描くことで、家庭でたっぷり愛を受けて育ち、不幸せではないことを伝えたかった。
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