「分断ではなく、団結させる大統領になることを誓う。赤い州や青い州ではなく、ただ合衆国だけを見つめる」──米民主党のジョー・バイデン前副大統領は11月7日夜、「勝利宣言」の演説でそう語った。
新政権には数多くの試練が待ち構える。歴史的な大接戦で浮き彫りとなったのは、米国をむしばむ分断の亀裂の深さだ。トランプ大統領は敗北を認めず、郵便投票に不正があったとして法廷闘争に打って出た。支持者の多くが「選挙が盗まれた」とデモを続ける。
「選挙結果が意味するのは、トランプなきトランプ主義。白人ナショナリズム、ポピュリズム、排外主義、差別主義といった“ダークサイド”と呼ぶべき運動は生き残った」。キヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦研究主幹はそう指摘する。選挙後も深刻な両極化の流れは止められない。
コロナ禍による米国人の死者はすでに約24万人と、ベトナム戦争での死者の4倍以上に達した。コロナ対策の失敗がトランプ氏敗北の最大の原因だろう。だが、新政権がコロナ対策で成功する保証はない。バイデン氏は「ビルド・バック・ベター(よりよい復興)」を掲げ、気候変動対策と経済再生の両立を狙う。対外政策では同盟国との協力強化、国際機関・協定への復帰で、世界秩序の修復を目指す。そのメッセージはトランプ政治からの大転換を印象づける。
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