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日本の長寿型経営は再評価されるか 安定と革新の「両方よし」で止揚を目指せ

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大阪大学大学院 経済学研究科教授 延岡健太郎(のべおか・けんたろう)1959年生まれ、広島県出身。81年に大阪大学工学部精密工業科卒業後、マツダ入社。米マサチューセッツ工科大学にて93年Ph.D.(経営学)取得。神戸大学経済経営研究所教授、一橋大学イノベーション研究センター教授などを経て2018年10月から現職。著書に『価値づくり経営の論理』など。

コロナ禍で、多くの中小企業が存続の危機にある。OECD(経済協力開発機構)の調査では、日本の中小企業(500人以下)における休廃業率は、5月時点で10%に達した。ただし、世界50カ国の平均は26%なので他国よりは低い。例えば、英国では43%、シンガポールは31%だ。

他方、日本は世界で最も長寿企業が多いことでよく知られている。日経BPコンサルティングの調査では創業100年以上の日本企業は3.3万社を超え、世界で最多を誇る。200年を超える世界の企業のうち、65%が日本(1340社)に集中し、2位の米国(239社)を大きく引き離す。

長年生存する企業は当然、多くの危機を乗り越えている。この点からも、コロナ禍による休廃業が比較的少ない点と整合する。日本が人の平均寿命と同様に企業の寿命も世界一なのは、長寿を尊ぶ文化ゆえか。再検討する価値はある。

利益を高めることが企業の存在理由であれば、ダイナミックで新陳代謝が高いほうがいい。時代を先取りした企業が次々に生まれ、合わなくなれば撤退する。悪く言えば多産多死の企業社会だ。

長寿企業が多い安定した社会と頻繁に企業が入れ替わる革新的な社会のどちらがいいのか。なお、起業率と廃業率は、統計上も理論上も通常は相関するので、起業だけを期待するのは難しい。

近年は、生き残りを重視した日本企業の革新性の低さが批判されてきた。新規事業への投資を控え、利益剰余金(内部留保)は空前の500兆円超まで積み上がった。その慎重姿勢は、投資家だけでなく、政府や経営学者からも批判される。

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