新政権が誕生して1カ月余り、菅義偉首相は安倍晋三政権の政策継承を唱えるが、しだいに両者の肌合いの違いがはっきりしてきたと感じる。経済政策については、アベノミクスが結果を出せなかった成長戦略の強化が重要という点で識者の認識は一致するが、まさにこの成長戦略において両者の違いが最も鮮明になりそうだ。
安倍政権の成長戦略はよくいえばビジョン重視、悪くいえばスローガン倒れだった。1億総活躍、働き方改革、生産性革命、全世代型社会保障など、毎年のように新しい看板が掲げられた。これらはいずれも日本経済の弱点を突く正しいビジョンに基づくものだったが、残念ながら現実に成果が上がるまで目標が追求されることはなかった。
安倍政権の成長戦略が中途半端に終わった理由については諸説あるが、1つには安倍氏を取り巻くリフレ派学者たちが「デフレ脱却さえ実現すれば、すべてうまくいく」と構造改革を重視しなかったことがあるだろう。また安倍氏には、安全保障法制や憲法改正といった自身が重視する目的の実現のためには、既得権益を敵に回すのは得策でないとの判断があったのではないか。いずれにしても、スローガンが実効性のある具体策にまで絞り込まれなかった印象が強い。
これに対し菅首相は、個別具体的な政策を掲げ、どんなに困難であってもやり遂げるといわれる。内閣支持率の高さからみて、こうした姿勢が国民から好感されているのだろう。しかし、エコノミストら専門家からは、菅首相の政策に対する辛口の評価も少なくない。
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