在宅勤務が広がる中で、ジョブ型雇用が注目されている。ジョブ型雇用とは、欧米に見られる雇用形態であり、「ジョブ(職務)」を前提に、それに見合う人材を採用していく。職務の範囲が限定的で、専門スキルを身に付けやすいが、職務が不要になれば解雇されるリスクがある。
これに対し、日本の雇用形態は職務を前提にせず、会社の「メンバー」にふさわしい人を採用するメンバーシップ型である。そこでは職務は限定されずに配置転換が行われる。これにより、ある職務が不要になっても、雇用は維持されやすい。「人と職務の結び付き」を自由に変えられる点が特徴だ。
また、メンバーシップ型における賃金は、年齢や勤続年数に伴って上昇していく「年功賃金」であり、50代前半ごろがピークとなる。このような賃金カーブには「生活給」が盛り込まれ、人々はライフサイクルにおける支出の変化にうまく対応できた。
例えば、結婚して子どもが成長していけば、住宅を購入してローンを返済する世帯が増えていく。また、40代や50代になると、子どもの大学進学などによって教育費が増える。年功賃金は、こうした支出を吸収してきた。
しかし、ジョブ型雇用になれば、賃金は職務をベースに定まるので、年功賃金ではなくなる。課題になるのは、年功賃金でカバーしてきた住宅費や教育費を、今後いかに賄っていくのかという点である。
筆者は、住宅や教育に向けた費用には、公的支援を拡充すべきだと考えている。これは、単に家計が大変になるからという理由ではない。住宅や教育は、市場経済の下で自立した生活を送る基盤になるからだ。低所得者を含め、誰もが生活基盤を形成できれば、社会参加できる人が増えて、社会の活力を高めることにつながるだろう。
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