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企業の東京撤退をどう考えるか 政府は地方での企業活動促進に注力すべきだ

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  • 太田 聰一 慶応義塾大学経済学部教授
慶応義塾大学経済学部教授 太田聰一(おおた・そういち)1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学大学院修了(Ph.D)。名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学。著書に『若年者就業の経済学』、共著に『もの造りの技能─自動車産業の職場で』『労働経済学入門』など。(撮影:梅谷秀司)

人材サービス大手のパソナグループが9月1日、本社機能を東京から淡路島に分散化すると発表し、注目を集めた。東京本社に勤める人事や広報などの社員約1800人のうち約1200人を今年9月から2023年度末にかけて順次淡路島に移すという。

その狙いとして南部靖之代表は、コロナ禍に直面して東京にすべての機能が集まっていることへの懸念が高まったこと、オフィス賃料や従業員への交通費支給の節減、そして自然環境の中で心豊かに働くメリットを挙げている。

筆者も、この報道にたいへん興味を持った。東京に本社を構えていた大手企業が、その機能の多くを地方に移すというのは、聞いた記憶がないからだ。同社の例は、今後企業が東京とどのように関わるかについて、1つのあるべき方向性を示しているように感じた。

そもそも東京一極集中の背景には、集積のメリットの存在がある。特定の場所に企業が集まり、互いに近接すると、取引の利便性が高まる。また、その中で新しい製品を生み出す知識やアイデアが共有され、高い付加価値が実現する。企業の集積とともに、働く人々も集まってきて、巨大な消費市場が形成され、それがまた企業を呼び込む。さらに政府機能と成長産業である情報サービス業が集中することで、極めて高度な集積が生じたのが、今の東京だといえる。

もちろん集積度が大きくなると、オフィス賃料や賃金が上昇してコストデメリットとなるが、それを上回るメリットがあったために、地方創生の掛け声にもかかわらず一極集中の問題は悪化していた。

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