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消費税減税・廃止論への強い違和感 単なる国民の人気取りになってはいけない

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大正大学地域構想研究所教授 小峰隆夫(こみね・たかお)1947年生まれ。東京大学卒業。経済企画庁経済研究所長、物価局長、調査局長、国土交通省国土計画局長などを経て、2020年4月から現職。日本経済研究センター理事・研究顧問も務める。著書に『人口負荷社会』『日本経済論の罪と罰』『政権交代の経済学』など。

与野党のトップ選挙が行われ、近い将来の解散総選挙の可能性も取り沙汰される中、消費税を減税・廃止するという提案を目にするようになった。これには次のような強い違和感を覚える。

第1に、消費底上げの政策として不適切である。確かに消費は低迷しており、その消費を刺激するために、消費減税を行って可処分所得を増やせばいいように見えるが、どうもそうではないようだ。

例えば、7月の家計調査で見た消費支出(2人以上の世帯、実質)は前年同月比7.6%の減少だったが、減少が大きい項目は、教養娯楽サービス(40.6%減)、自動車等関係費(6.1%減)、外食(28.4%減)、交通(61.7%減)、交際費(16.9%減)などだ。これらの寄与度を合計すると、全体の7.6%減のうち、7.3%減分と大部分を占めている。

消費減の主因は、所得が減ったことではなく、新型コロナ感染症を恐れて多くの人々が外出、レジャー活動を控えたことである。消費税率を下げれば人々が外出するようになるとは考えられないから、消費刺激策としては無効である。

第2に消費税は、低所得者ほど税の負担率が高くなる逆進税だから、消費減税は低所得者を助けることになると考える人もいるようだが、この理屈も怪しい。消費減税を行うと、高所得層ほど得をしてしまうからだ。

簡単に計算してみよう、家計調査(2人以上世帯、2018年)で所得階級別の消費金額(月平均)を見ると、最下位の第1分位(年間平均所得252万円)は19.2万円、最上位の第5分位(同1183万円)は41.0万円である。軽減税率は無視してすべてに10%の消費税を払うとすると、第1分位の負担額は年23万円、第5分位は49万円となる。所得に占める比率は第1分位9.1%、第5分位4.1%だ。確かに逆進的である。

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