有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #経済を見る眼

来年度予算には「賢い支出」が不可欠だ 出そろった過去最大105兆円超の概算要求

3分で読める 有料会員限定
  • 佐藤 主光 一橋大学大学院経済学研究科教授
一橋大学大学院教授 佐藤主光(さとう・もとひろ)1992年一橋大学経済学部卒業、98年加クィーンズ大学博士号(経済学)取得。2009年から現職。専門は財政学。政府税制調査会委員なども務める。著書に『地方税改革の経済学』『地方財政論入門』、共著に『震災復興 地震災害に強い社会・経済の構築』など。(撮影:梅谷秀司)

2021年度予算に向けた各省庁の概算要求が9月末に出そろった。要求総額は105兆円超で過去最大だ。

通常、概算要求には前年並みといった基準が設けられ、予算の膨張に歯止めがかけられている。しかし、今回は前年度並みの要求額を基本とする一方、新型コロナウイルス対策などには別枠として要求額に上限のない「緊要な経費」の計上が認められた。加えて、金額を定めない事項要求が幅広い項目にわたり、例年にない規模になっている。

例えば、検査体制の拡充を含むコロナ対策の費用や不妊治療への助成金などが事項要求となった。さらに昨年、約5000億円とされていた高齢化に伴う社会保障費の自然増も今年は明記されていない。事項要求や自然増は今後の予算編成の中で明らかになっていくことから、来年度の予算規模は105兆円より大きく膨らむ見通しだ。厚生労働省分だけで現在の要求額33兆円から最終的に数兆円上乗せされるとの報道もある。

財務省は予算の中身を大胆に重点化することを省庁に求めているが、コロナ禍に便乗した要求も指摘されている。今年度の国の歳出総額はすでに160兆円超に膨らんだ。結果、財政赤字は90兆円を超え、歳出と税収の乖離であるいわゆる「ワニの口」は広がっている。このままでは来年度以降もふさがりそうにない。コロナ禍のような未曾有の危機において財政出動で経済・社会の機能を維持すべきことは論をまたないが、財政規律を無視してよいわけではない。将来に禍根を残さぬよう予算のワイズスペンディングが求められている。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数