7年9カ月に及んだ歴代最長政権が終わり、新たに菅義偉首相が誕生した。安倍晋三前首相のアベノミクスは、「大胆な金融緩和政策・機動的な財政政策・民間投資を喚起する成長戦略」という3本の矢を掲げたが、その中で最も成功したのは第1の矢・大胆な金融緩和政策であった。
冷静に考えると、独立しているはずの中央銀行の政策が、政権の最も成功した政策であるというのも妙な話だが、最初の2年間で大幅な円安を実現したことが、日本経済にプラスの影響を与えたのは確かだろう。足元でも円の実質実効レートは過去30年間の平均に対して20%程度割安なままだ。
最初の2年間の後も大幅な円安水準を維持できた要因の1つとして、安倍前首相が築いたトランプ米大統領との友好関係も大きかったと考えられる。
米国は経常赤字国、日本は経常黒字国なので、単純化すれば経常的にドル売り・円買いが発生している。日本は獲得したドルを国内に戻すときに円に替えるからだ。それを日本の投資家や企業が米国へ投資してドルに戻すことによって、ドル円相場は安定する。
そんな中で米国当局がドル安・円高になったほうがよいなどと言ってしまうとか、そこまで言わなくても日米関係がギクシャクしてしまうことになると、日本から米国への投資フローが減少してしまう。その結果ドル安・円高が加速する。
そうした意味で、過去4年間、トランプ政権に対峙する中、円安水準を維持できたのは、両首脳の良好な関係が大きく影響しているといっても過言ではない。
菅新政権にも米国との良好な関係を維持することを期待したい。米国も大統領選挙で政権が代わってしまう可能性はある。したがって、関係維持は容易なことではないかもしれないが、円相場安定のためにも期待したいところだ。
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