世界中の中央銀行による金融緩和に支えられ、堅調な株式市場と安定的なクレジット(信用)市場が長らく続いている。むしろ、何がこの平静を破るのか、あれこれ想定しなければならない時期が来ているといえよう。地政学的リスクや米大統領選挙、誰もが知る大企業のデフォルトの可能性などマーケットを冷やす要素はあるが、どれも一過性に見え、金融市場が大崩れするようなリスク要因としては、指摘できない。
そんな中、注意すべきは、規制などの変更によって、リスクが先送りされていることではないだろうか。例として米国の金融機関に絞って考えてみよう。
空前の巨額支援のツケ
金融システムを守るため、米国の金融機関は強いサポートを受けた。その結果、目先の投資妙味は絶大なものになった。
第1に、3月に総額2.2兆ドルの救済策「コロナウイルス支援・救済・経済保障(CARES)法」が採択されるや、中小企業などへの貸し出しが積極化されたほか、貸し手であるローン会社は救済や返済の猶予などを行うこととなった。このため、長らく高い水準にあった学生ローンの90日以上延滞率は、10%程度だったものが、この第2四半期では6%強にまで急低下している。資金の目詰まりが解消され、目先のデフォルト率が下がれば、金融機関にとっては不良債権とはならず、財務への影響は限定的となる。
第2に、健全性審査の結果を受けて資本計画などを勘案し、米金融機関大手の増配や自社株買いは、7~9月期も制限を受けることとなった。株式投資家にとってはネガティブに見えるであろうが、無作為に貸し出しが増える中で、バランスシートを安定させるためには資本流出は止めるべきである。資本流出を望む市場の圧力にさらされずに済むことは、むしろ望ましい。
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