日本の4〜6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は速報値で前期比年率マイナス27.8%、米国は同マイナス32.9%と、成長率の数字とは思えないような大幅なマイナスとなった。しかし、JPモルガンでは日本の7〜9月期の成長率はプラス14%、米国は同プラス20%程度と急速なリバウンドが始まったと予想している。
世界経済にこれだけの激震が走ったことが影響していると思われるのが、日本を取り巻く国際投資フロー(資金の動き)の規模が最近大きくなっていることだ。本邦投資家全体の証券投資フローを見ると、6月に外債(中長期債)を4兆円買い越した後、7月には外国株を4兆円売り越した。
金利の大幅低下に反応
外債に関しては、月によって買越・売越額が3兆円を超えることはそれほど珍しくないが、今年のように年前半の6カ月中に4カ月連続で3兆円を超えた年は統計がさかのぼれる1996年以降は一度もない。また、単月で外国株の買越・売越額が2兆円以上となった月は2016年以降一度もなかったが、今年は3月に2.2兆円買い越した後、7月は4.0兆円も売り越している。
このように証券投資フローの規模が買いにせよ、売りにせよ大きくなっている背景には、日本の投資家の対外証券投資の規模が近年拡大していたことに加え、新型コロナウイルスの流行を受け、世界の株価が大きく上下動し、世界の長期金利が大きく低下しているため、多額の投資資金を一気に動かす必要が生じていることもあるのだろう。
今後も対外証券投資の大きな変動が続くと、円相場の不安定要因になりうる。
対外証券投資のうち実際にどの程度が為替ヘッジなしの取引であったかを知るのは難しいが、銀行による外債投資のみをヘッジ付きとして除外し、対外証券投資に伴う為替取引を推計すると、7月は2.5兆円程度の円買い越しだった可能性がある。これは筆者の推計値によれば少なくとも10年以降単月で最大の円買越額だ。主因は外国株の売り越しで、4.0兆円と96年以降で単月では最大の額となった。7月の外国株の売り主体は、銀行と信託勘定(年金)で、両者共に統計がさかのぼれる05年以来で最大の売越額である。信託勘定(年金)については、ほぼ同額の外債を買い越しているため、外国株から外国債への資産構成の入れ替えを行っただけの可能性もあり、ネットで見れば円相場への影響は小さかったかもしれない。
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