金(ゴールド)の価格は7月27日のニューヨーク市場で約9年ぶりに史上最高値を更新した。同時に、ドル指数(DXY)は、約2年ぶりの低水準にまで下落している。
金価格とドルの動きが、深く関連していることは疑いがない。コロナショックで一気に表面化した米国の「日本化」懸念がドルの信認を低下させ、ドル資産から金へ資金のシフトを促しているのだ。
長い間、金はインフレから資産を守るインフレヘッジの代表的な投資対象とされてきた。2008年のリーマンショック後にも、マネーは金市場へ流入した。大幅な金融緩和策と巨額の財政出動が、いずれ物価上昇率を加速させ金の価値を高める、と多くの投資家が考えたからだ。
ところが、物価上昇率の顕著な加速は生じなかった。物価上昇分を差し引いた実質リターンの年平均値を計算すると、1980年以降で米国株はプラス7.9%、米国債券はプラス6.2%であるのに対して、金はマイナス0.4%と極めて低い。金は実際にはインフレヘッジの役割を十分に果たしていないのである。
財政拡張の副作用
リーマンショック後と同様にコロナショック後の米国では、政策金利が一気にゼロ近傍まで引き下げられるとともに、積極的な財政拡張策が取られている。米国では3月以降、計3回にわたって経済対策が実施されてきた。その規模はGDP(国内総生産)の15%に相当する、3兆ドル規模にまで達したが、さらに現在、追加の景気対策が議会で審議されている。
しかし、こうした積極財政出動が功を奏し米国経済が強く回復する、またそれを受けて物価上昇率が顕著に高まる、とは金融市場は観測していない。
追加の景気対策を講じなければ、今までの経済対策の効果が剥落することで景気に悪影響を引き起こす、「財政の崖」が生じてしまう。これを回避するための追加景気対策、という議論になっており、後ろ向きの要素が強まっているのだ。さらに、経済対策が繰り返される中で、財政赤字は急速に拡大していく。
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