誰しも感じていることと思うが、新型コロナウイルス感染拡大はこれまでの経済的、地政学的な危機と異なり、世界中の人間全員が脅威を感じる、文字どおり「世界的な事象」となった。人々の生活様式、産業構造など、さまざまなものが大きな変化を見せるだろう。
マーケットも同様で、筆者は円相場にも大きな変化があると予想している。
ここ数年、筆者はドル円相場に関して基本的には円安方向の見通しを維持してきた。だが、新型コロナウイルス感染拡大とそれに対する米国、日本など各国の政策対応を受けて、今後数年間、ドル円相場は円高に向かうとの予想に変更した。1ドル=90円へ下落トレンドをたどるだろう。
ドルが予想以上に弱く
通常、ドル円相場は先行き見通しに不透明感が強まる、いわゆるリスクオフのときに円高方向に動くことが多い。今後数年間は新型コロナウイルス感染拡大を懸念しつつも、しだいに経済は回復基調を強め、先行きに楽観的なムードが強まりいわゆるリスクオンとなる。その中でもドル安円高が進むと予想する。
こう予想する最も重要な背景は「ドル安」予想だ。通常リスクオンの下ではドルも円も共に弱い通貨となる。そして通常は「弱いドル」よりも円のほうが弱くなるためドル高円安となる。しかし、今後のリスクオン局面では「弱い円」よりもドルのほうが弱くなり、ドル円相場は下落する流れが継続するだろう。
こうした予想には違和感を持つ向きもあるかもしれない。だが、実はリーマンショック後の2009~11年にも同様に、世界の株価が上昇していく中で、ドルが主要国通貨の中で最弱通貨となり、ドル円相場は1ドル=100円前後から76円前後まで円高に進んだ。要するに、ショックからの回復局面でFRB(米連邦準備制度理事会)が慎重になり金利を上げないでいるとドルは予想以上に弱くなる可能性があるということだ。
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