新しい“マネーの潮流”としてサステイナブルファイナンス、すなわち「持続可能な金融」の広がりに注目したい。気候変動や生物多様性、貧困や経済的格差の問題など、多岐にわたる地球環境や社会の課題に対応するための資金調達がサステイナブルファイアンスである。
このうち、債券市場の規模を見ると、累積発行残高で2020年5月末現在9300億ドルだ。今年の発行量はすでに1552億ドルに達し、前年同期比では34.0%増となっている。
今年の増分はコロナ債によるところが大きい。コロナ債は文字どおり、新型コロナウイルスの問題を解決するための資金調達である。資金使途はさまざまに設定でき、ヘルスケアサービスや医療研究のほか、職を守るための中小企業支援、失業手当なども対象にできる。そのため、現時点では主な発行体である公的金融機関のみならず、民間(金融機関や製薬会社など)への広がりも期待できる。いわゆるESG(環境・社会・企業統治)投資の一翼を担うことになる。
こうした流れになると必ず出てくる疑問が「経済の回復より重要なことなのか」というものだ。「経済の回復なくしてESG投資なし」は道理にも聞こえる。だが、ESG投資やサステイナブルファイナンスへのマネーの流れは確実に強まるだろう。そう考える理由を3つ指摘したい。
第1に、政治的後押しである。この分野で先行するEU(欧州連合)は5月27日の欧州委員会で、コロナ危機からの復興のために時限的な枠組み「次世代EU」7500億ユーロを設定した。昨年12月に合意した「EUタクソノミー法」(50年までにCO2排出ゼロを目指す)の流れを踏まえたもので、その案には、EU全域を対象とした最低炭素価格の設定、グリーンニューディール(GND)で設定された脱炭素目標の引き上げ、炭素リーケージ(規制の緩い地域に排出ガスを移動させること)を防止するための措置が組み込まれている。米中のプレゼンスが大きくなる中で欧州色を出すためにも政治的に後押ししていくであろう。
この記事は有料会員限定です
残り 721文字
