今年の世界の実質GDP(国内総生産)成長率は前年比マイナス4.8%になるとJPモルガンでは予想している。リーマンショック直後の2009年の成長率は同マイナス1.8%だったので、比較にならないほどのマイナス幅だ。第2次世界大戦直後に10%近いマイナス成長となった2年間を除くと、1929年10月の米株価暴落から始まった世界大恐慌以来の落ち込みということになる。
大恐慌時の世界の成長率は1930〜32年まで3年連続で前年比マイナス4〜5%程度となっていた。今回も当時と同様に来年も再来年も大幅なマイナス成長が続くのだろうか。
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は5月半ばに行われたインタビューでその可能性を明確に否定している。その理由として挙げたポイントの1つが、当時は世界で金本位制を守ろうとして金利を引き上げるなど、今とは正反対の政策を行っていたことだ。ジョン・ガルブレイス著『大暴落1929』でも、当時米国では経済を安定させるために財政均衡を目指し、通貨の切り下げなども行わないことが重要と考える風潮が強かったと指摘されている。
今回は世界的に当時と正反対の政策が取られていることを考えれば、新型コロナウイルス感染の第2波が爆発的に広がり、薬もワクチンも開発されない状況にでも陥らない限り、世界の成長率が複数年にわたり4〜5%ものマイナスを続けるようなことにはならないだろう。
ばらまきはなぜ可能か
しかし、今回は当時と正反対の政策が採用されているという事実は、非常に興味深い。
金本位制は、国内に流通する紙幣の量を国や中央銀行が保有する金の量に比例させる制度だ。そしてそうした制度下で自国が保有する金地金との交換を保証された紙幣のことを兌換紙幣と呼ぶ。つまり紙幣の発行額は金の保有量により制限される。
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