ポストコロナにおいて、以前とはまったく違ってしまうものがあるとの見方は多い。例えば、「テレワーク」や「時差通勤」など仕事をめぐる環境、慣習に関するものは、完全には元に戻らないかもしれない。しかし、それらは新しいライフスタイルの定着ということでもあり、付随した新しいビジネスも拡大していくと予想される。
一方で、ポストコロナにおいて元に戻らないかもしれず、かつ、それがネガティブな影響を及ぼしうる事柄もおそらくある。例えば、「財政規律」と「市場機能」がそうかもしれない。
そんなことを言うと、「こんな緊急時に“財政規律”などと言っている人間は愚かだ。人命と借金をてんびんにかけるなんて人道にもとる。絶対に必要な借金は躊躇なくすべきだ」というような反論が寄せられるだろう。
歯止めは利かなくなる
ただ、冷静に考えてほしい。今回、世界中で実施されている空前の規模の財政支出のうち、純粋に人命維持のための部分はどのくらいだろうか。実際には、景気浮揚の部分に多額の財政支出が行われているわけである。
どういう名目のものであれば財政を費やしてもよいのか、そこにどこまでの例外を認めるべきなのかという線引きが、「財政規律」というものの本質である。
コロナ危機が終息すれば、こんな大規模な財政支出を行う必要はなくなると多くの人は考えているだろう。しかし、今回は特別なことだったので優先的に借金を返そうというような世論は、きっと危機終息後も出てこないだろう。それどころか、次に何かの事件なり災害なりが起きたら、「コロナのときにも使ったではないか」という主張が免罪符のようになされ、だんだんと歯止めが利かなくなるのではないか。
そして、もう1つ、元に戻らないことが懸念されるのが「市場機能」である。
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