サブプライム問題に端を発する金融システム不安から起きたリーマンショックと違い、今般のコロナショックは需要の強制的な減少により生じている。そのため、現時点では金融システム不安は観察されていない。しかも、あれこれ封じ込め策を講じているのを見ると、金融システム不安にはさせまいとする当局の強い意志が感じられる。いくつか指摘する。
大手米金融機関の2020年1~3月期の決算が出そろった。利益が軒並み、前年同期比で大幅減少となったのは、売上高の減少によるものではなく、貸倒引当金を積んだことによるもの。JPモルガンやシティなど商業銀行を抱える業態を中心に、新型コロナウイルスによる景気低迷に鑑み、前年同期比4~5倍に引当金を増加した。米国では20年1月からCECL(現在予想信用損失)を適用し、実質破綻先への融資で見込まれる損失を従来よりも早期に計上することになっている。
厳しい規制は先送り
この基準によって厳格な引き当てが積まれたのかどうか、現時点では判断できないが、当面はこれ以上の引き当てが要求されない可能性もある。FRB(米連邦準備制度理事会)はレバレッジの上限とともにこうした会計規則の緩和を検討しているからだ。欧州が18年に適用したIFRS(国際会計基準)第9号による厳格な引き当て基準にも、ECB(欧州中央銀行)は柔軟に対処することを決めた。
また、FRBやECBは金融機関が発行するCPを買い取り対象にすることも検討している。欧州では20年第3四半期まで金融機関には自社株買いと配当を禁じ、資本の維持も重視する。金融機関の健全性を保つとともに、仮に配当のできない金融機関があっても、信用不安につながらないというメリットがある。
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