「オマハの賢人」と呼ばれる著名投資家ウォーレン・バフェット氏が脱炭素の流れに反する大きな賭けに出た。傘下のエネルギー事業会社バークシャー・ハサウェイ・エナジー社は7月5日、バージニア州に本拠を置く電力ガス事業の大手老舗企業であるドミニオン・エナジー社から天然ガスに関連する大型事業を総額97億ドル(約1兆円)で買収すると発表した。
買収の対象になった事業は、全長7700マイル(約1万2300キロメートル:首都ワシントンからロサンゼルスまでの距離の約3倍)ものガスパイプライン網と1兆2600億立方フィートのガス貯蔵設備、それにドミニオンがメリーランド州チェサピーク湾に保有するコーブポイントLNG(液化天然ガス)輸出基地の25%相当分である。
今回の買収劇で注目を浴びているのは、この分野の老舗であるドミニオン社が同じく老舗の大手デューク・エナジー社との間で進めてきた大西洋岸パイプライン構想を断念したのと同時に発表された点である。
1世紀超にわたりバージニア州を拠点に天然ガスや発電事業を展開してきたドミニオン社が、大型の新規ガスパイプライン計画を断念するのみならずコア事業までも手放す決断をしたのは、世界的な脱炭素の潮流にはあらがいようがないとの経営判断からだ。同社は2050年までに温暖化ガスの排出量をゼロにする長期経営目標も発表している。
「つなぎ」として評価
なぜバフェット氏はあえて時代の流れに逆らうのか。同氏の今回の投資判断への評価は専門家の間でも分かれている。
実は同氏は昨年にも化石燃料に大きな投資をしている。シェール石油ガス業界で独立系大手のオキシデンタル・ペトロリアム社に100億ドル(約1兆円)を出資したのだ。同社はバークシャーからの出資をテコに昨年夏、競合するアナダルコ社を買収し独立系では米国最大手の地位に一気に躍り出た。
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