「当日の株主総会へのご出席をお控えいただくよう強くお願い申し上げます」。日本の上場企業約3800社のうち約2400社ある3月決算企業は通常、6月中に株主総会を開く。その招集通知に今年はこうした文言があるはずだ。
株主総会は、株主が議決権の行使を通じ会社にとって重要かつ基本的な事項を決める最高意思決定の場だ。経営陣に直接質問したり、意見を述べたりすることは株主の権利である。本来、企業は株主の出席を拒むことはできない。
しかし、大勢が会場に集まれば、クラスターとなりかねない。経済産業省と法務省が株主の出席を制限することは可能という見解を示した。経産省は、事前の議決権行使を積極的に利用する、総会への来場は原則控える、といった株主へのお願いも公表している。
コロナの感染防止、関係者の健康・安全は株主の権利よりも重要ということはわかる。ならば「延期」という手段もある。
実は、現行の会社法上、必ずしも決算期末から3カ月以内に株主総会を開かねばならないわけではない。期末日以降に株式を売却した株主が配当を受け取れない可能性があるなどの理由で、実務上3カ月以内が定着しているだけだ。これも金融庁などが延期や継続会(決算そのものが遅延した場合、2回に分けて総会を行う方式)を認める声明を出している。
しかし、延期を選んだのは約3%。大手では日立製作所や東芝などわずかにとどまる。ほとんどの企業は6月中に総会(継続会を含む)を実施する予定だ。
バーチャル総会という選択肢もある。こちらも経産省が実施ガイドを公表している。ただ、実施する企業はわずかだ。視聴だけではあまり意味がないため、質問や議決権行使にまで対応しようとすれば、回線の安定性を保証するなどハードルが高くなるからだ。加えて、日本の会社法では「場所」が必要とされており、完全バーチャルは難しいという解釈が主流。リアル総会も同時に開くハイブリッド型とならざるをえず、本質的な感染症対策にはならない。
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