世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、日韓両国でも国民の関心はコロナ一色だ。一方で、日韓関係に緊張をもたらすとげは刺さったままだ。そんなとげの1つに最近、動きが見えた。慰安婦問題である。
元日本軍従軍慰安婦の一人が、これまで運動をリードしてきた韓国の市民団体・正義連(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)の尹美香(ユンミヒャン)元代表について、「元慰安婦の意見を聞かず、独善的に行動してきた。事実と異なる証言を広め、寄付金など金銭も元慰安婦には行き渡っていない」と爆弾発言を行った。
これをきっかけに、正義連と尹氏に関するスキャンダルが燎原の火のごとく広がっている。慰安婦像の設置推進やソウルの日本大使館前での毎週の抗議集会などを行ってきた陰で、不透明な資金運用や脱税といった違法行為も疑われている。尹氏は2020年4月15日の総選挙で当選し、国会議員としての第一歩を踏み出すところだった。
もう1つのとげも韓国で動き出した。日本による対韓輸出規制だ。韓国・産業通商資源省は5月12日、昨年の規制発表から1年近く経ち「解決を遅らせられない」と、フッ化水素など日本側が規制を行っている3品目などの輸出規制について取り消しを迫った。この輸出規制は、元徴用工問題への報復措置だと受け止めている韓国としては、歴史問題の延長線上で捉えていることになる。
続く「被害者中心主義」
今、文在寅(ムンジェイン)大統領は何をしようかとうずうずしているのではないか。4月の総選挙で与党が圧勝し、残り2年の任期を自信満々で政権運営を行える状況が整った。
文政権は日本との関係を重視してこなかった政権だ。今でも日本との関係改善を図る必要性は感じていないだろう。それは、新型コロナ危機への対策や検察官の定年延長問題、さらに東京五輪開催延期と混乱が続く安倍政権について「弱体化している」と認識しているためだ。コロナ対策では、PCR検査の迅速な実施といった点で韓国が世界から評価されている一方、「日本はうまくやっていない」と韓国人は思っている。また、全体的な防疫対策は、日本と協力しなくても自力でやれたとの自信を深めているところだ。
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