10月10日に再開された米中間の閣僚級通商交渉が、対中関税率の一部引き上げが先送りされるなど部分合意に達したことが報じられた。さらなる関係悪化にひとまず歯止めがかけられた形だ。一方で貿易問題とは別に、資本市場において企業の新規上場に関する規制が強化されるのではないかという問題が盛んに報じられるようになっている。
例えば、9月末、対中強硬派として知られる米共和党のルビオ上院議員らは連邦職員の年金運用を管理する連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)に対し、中国株投資をやめるよう要請したと報じられた。また、対米外国投資委員会(CFIUS)に対し、中国資本による米企業の買収を禁止するよう働きかけるロビー活動が行われていることも伝えられている。
ただ、このような中国を対象とした米国の資本規制が改めて問題にされるということ自体、米中両国間の資本の往来がすでにかなりの規模で行われている、ということの裏返しでもある。それを象徴するのが百度(バイドゥ)、アリババ、テンセントなどの大手IT企業の資金調達だろう。
周知のとおりこれらBATと呼ばれる大手IT企業グループは、その持ち株会社の登記をタックスヘイブンの英領ケイマン諸島で行っている。また、その株式の大半は海外投資家によって保有されており、形式上は外資企業となっている。
一方、中国の国内法は、インターネット産業における外資企業の参入を厳しく規制している。にもかかわらずBATなどに対する出資が可能になっているのは、これらの企業がVIE(変動持ち分事業体)という手法を用いているからだ。
海外に資本を持つ持ち株会社は、例えば電子商取引のタオバオを運営する淅江淘宝網絡有限公司など、中国国内の運営会社に対して直接出資するのではなく、あくまでも融資契約や委任契約などの一連の契約関係を通じて実質的に支配するという手法をとっている。これが中国で合法なのかどうかは実はグレーゾーンだといわれてきたが、当局は黙認しており、大手IT企業の海外での資金調達はグループ拡大に寄与してきた。その中には当然、米企業の資本も流れ込んでいる。
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