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『「戦場のピアニスト」を救ったドイツ国防軍将校 ヴィルム・ホーゼンフェルトの生涯』 憎悪と暴力の渦の中で人間愛を失わなかった男

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「戦場のピアニスト」を救ったドイツ国防軍将校 ヴィルム・ホーゼンフェルトの生涯(ヘルマン・フィンケ 著/高田ゆみ子 訳/白水社/2800円+税/334ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] Hermann Vinke/ドイツのジャーナリスト、作家。1940年生まれ。「白バラ」グループのゾフィー・ショル、「ローテ・カペレ」のカト・ファン・ボンチェス、ノーベル平和賞受賞者カール・オシエツキーら、ナチス抵抗運動家に関する著書多数。

ロマン・ポランスキー監督作品『戦場のピアニスト』をご覧になったことがあるだろうか。実話を基にして作られた映画だ。私にとっては人生の中で最も感動した映画のひとつである。

舞台はドイツ占領下のポーランド。首都ワルシャワのラジオ局でピアニストをしているウワディスワフ・シュピルマンが主人公。ユダヤ人である彼はドイツ占領下のポーランドで恐ろしい迫害を経験する。彼は絶滅収容所への輸送を免れたが、つらい逃亡と潜伏生活を余儀なくされる。そんな生活が極限に達した映画の終盤で、彼を助ける男が現れる。

それがドイツ国防軍将校のヴィルム・ホーゼンフェルト大尉だ。劇中の最も重要で感動的な場面だが、シュピルマンを助けたドイツ将校の情報はあまりにも少ない。名前がヴィルム・ホーゼンフェルトであること、その後ロシア軍の捕虜となり、抑留中に非業の最期をとげたことのみが、映画では語られている。

本書はこのヴィルム・ホーゼンフェルト大尉に焦点を合わせた作品だ。ホーゼンフェルトは教師だった父の影響を受け、自身も教師となる。敬虔なカトリック教徒で愛国心が強く、第1次世界大戦で自ら志願して戦場に赴いている。

ナチスが台頭すると素朴な愛国心からナチ党員となり突撃隊に入隊。一方で教育に介入しようとするナチスの政策やユダヤ人迫害については公に批判し、党の上役と衝突することもしばしばであった。

戦争が始まると国防軍に召集されドイツ占領下のポーランドへ派遣される。社交好き、かつ快活で優秀なホーゼンフェルトは頭角を現し、下士官から将校に出世する。しかし、ポーランドでのドイツ軍の行いに憤りを抱くようになる。

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