[Profile] さくま・ゆみこ/文筆家。1996年に渡米し、98年からニューヨーク在住。出版社、通信社などを経て2003年に独立。カルチャー、政治、社会問題など幅広いジャンルで、インタビュー記事、ルポ、紀行文などを執筆する。慶応大学卒業、イェール大学修士課程修了。
「ネットが生まれた時代に居合わせていたら、今ごろIT長者になっていたかもよ」。ある日酒場でそんな会話を耳にした。酔客の戯言ではあるが、草創期が可能性に満ちあふれているのは確かだ。そこには誰にでも成功できるチャンスがある。
あいにくインターネット革命はとうの昔に終わっているが、もしあのときの客に、いま米国を震源とした革命の波が世界に広がりつつあると教えてあげたら、いったいどんな反応を示しただろう。何しろそれは「マリファナ」をめぐる革命なのだ。
2014年にコロラド州が全米で初めて嗜好目的でのマリファナ使用を合法化したのをきっかけに、ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州などが完全合法化へ舵を切った。その結果、いまマリファナ業界に莫大な資金が流れ込んでいる。シリコンバレーの超エリートやセレブが続々とマリファナ・ビジネスに参入しているのだ。マリファナ・ショップには行列ができ、デリバリー・サービスだってある。そこにはもはやアウトローやヒッピーのドラッグというマイナーなイメージはない。
本書は、4兆円市場とも言われるマリファナ・ビジネスの最前線をリポートした一冊。日本ではほとんど知られていない情報が満載の良書である。
マリファナは嗜好目的のほか、長く医療目的でも使われてきた。医療の分野では「カンナビス」と呼ぶのが一般的だ。これまでの研究で、カンナビスにはガン、てんかん、多発性硬化症、緑内障、アルツハイマー病など、多くの疾患の治療や予防に効果があると明らかになっている。米国では1996年にカリフォルニア州が医療使用合法化に踏み切ったのを皮切りに、現在31の州で医療目的での使用が認められている(嗜好目的と合わせた完全合法化は9州)。
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