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安保カード乱発の米国流に距離を 既存のルールをひっくり返すことが日常茶飯事

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米国が「安全保障に関わる」という理由で既存のルールをひっくり返すことが日常茶飯事となってきた。多くの場合は中国が標的なので、日本人はどこか高みの見物の風情だ。しかし、日本も狙い撃ちにされているのを忘れてはいけない。

日本の場合は自動車が標的にされている。トランプ米大統領は就任当日に、TPP(環太平洋経済連携協定)からの脱退を決めた。あまり認識されていないが、このときの最大の争点は日本車だった。

TPP交渉の際に米国との間で最後までもめたのは自動車の部品調達比率だった。TPPでは関税減免の条件となる域内調達比率の下限を45%としており、これは一般的なFTA(自由貿易協定)より低い。残りはTPP未加盟のタイやインドネシア、さらに中国から調達してもいいわけで、こうした地域に拠点を持つ日本メーカーには有利な規定だった。オバマ政権は、そこを譲っても中国を牽制するための通商ルール形成を優先したといえる。

トランプ氏はもっと直截(ちょくせつ)に米国での生産拡大を追求した。域内調達比率が62.5%のNAFTA(北米自由貿易圏)にも不満なのだから、それより低いTPPは必然的にご破算になる。しかし、日本が主導して米国抜きでTPPイレブンを成立させたのは想定外だった。さらに日本とEU(欧州連合)のEPA(経済連携協定)が成立したことで、米国産の農産品、とくに牛肉と豚肉は、豪州産や欧州産に関税で大きく差をつけられることになった。このままでは日本市場を失いかねない。

日本を交渉の場に引き出すために、トランプ氏が目をつけたのが安全保障を名目に輸入品へ高関税をかけることができる通商拡大法232条だ。これを使って日本車に制裁関税を課すると言い出したのが昨年5月のこと。その判断の期限である11月13日を控えて行われていた日米交渉が、8月に基本合意を迎えた。9月下旬にも、安倍晋三首相とトランプ氏との首脳会談で決着する見通しだ。早ければ年内にも協定が発効する。

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